恐るべし生プルーンの威力

南箕輪村の某直売所で生プルーン2品種を購入した。

自分が生まれ育った大阪では,プルーンといえば乾燥果実か,「ミキプルーン」である。

生プルーンは,自分が信州へ来て,初めてお目にかかった果物で,それ以来,大好きな果物の一つとなっている。

長野県は生鮮プルーンの出荷量が全国の6〜7割を占めている主要産地なのだ。

 

今回は,「シュガーサンプルーン」と「砂糖李」の2種類。

プルーンもいろいろあるが,自分はこの「一口サイズの離核種」が食べやすくてとっても好きである。

「好き」といっても,よく完熟して収穫されたものに限る。早取りされた酸味の強いプルーンははっきり言って不味い。お店でそのような果実に出会った人は不幸だ。完熟したプルーンの美味さを知らないまま,2度と手を伸ばすことがないだろうから。

 

購入したプルーンは大丈夫そうだ。さっそく食べ比べすることに・・・。

写真左がシュガーサンプルーン,右が砂糖李。

これら2品種は,見かけも味もそんなには変わらないようだ。

どちらも結構甘くて美味しく,糖度はシュガーが19.3°Brix,砂糖李が19.9°Brixであった(ともに3個平均)。

砂糖李の方がやや甘さが強く,果肉崩壊が感じられ,やや熟度が進んでいた印象であった。

皮ごと食べたが,果皮付近は酸味が強く,甘い果肉と不均一に混ざり合って,とてもよいハーモニーを感じる。

 

この種のプルーンが好きな理由は,美味しさはもちろんであるが,それ以外に,生ゴミらしい生ゴミが出ないこと(実際,果柄と核のみ),食べきりサイズなのでそのときの空腹状態に応じて個数を選べることなど,一人暮らしだった頃にとても重宝したのだ。

もっとも,冷蔵庫の温度帯(4〜5℃)で内部褐変症状が出やすいことは玉にきずで,長期保存は0℃が推奨されるが,一般家庭では難しい。

 

プルーンは機能性成分もユニークである。

果肉のポリフェノールはネオクロロゲン酸が主成分であり,果皮にはこれに加えてアントシアニンやルチンなども含まれる。

食物繊維も1.9 g/100 g,約半分が水溶性とのことで,ペクチンも豊富である。

さらに,糖の組成としてソルビトールが多いことも特徴である。

(ちなみに,鉄の含量はちまたで言われているように特別多いわけではない。)

 

さて,久しぶりの旬の果物,調子に乗ってそれぞれ4〜5個,計10個ほど食べたものだから,後が大変だった。

 

プルーンがお通じを改善するというのは,個人の経験上からも,本当である。

夕方以降,腸の中で激しくガスが発生,ぽこぽこ頻繁に発酵が進む。

翌日にかけてこの事象は続き,日頃は出にくい性分の自分であるが,お昼前には超(腸)すっきり!

 

果物の健康効果として,一番体感できるのがお通じじゃないかと思える。お通じに関しては,やはりプルーンは最強かもしれない・・・

 

プルーンのお通じ改善パワーは学術的にも根拠がそろっている。

ペクチンなど食物繊維だけでもお通じには効果的だが,加えてプルーンにはソルビトールが多い。

ソルビトールは臨床的にバリウム服用時の下剤として使用される糖アルコールであり,水分を保持する作用が強い。ソルビトールのシロップは20〜30 gで緩下作用があることが知られており(Ellis,F.W.et al.,  1941),便秘症改善のために5 g分を4〜6回/日として使用される例もある(透析患者と便秘 - 日本腎臓病薬物療法学会)。

一方,生鮮プルーンのソルビトール含量は4〜5 g/100 gくらいあるので,35 gの果実10個食べるとソルビトールを既に14〜17.5 g程とってしまった計算になるのだ(^_^;)

 

ガスの発生はソルビトールが腸内細菌のエサとして使われた証し。ソルビトールの水分保持作用で便は緩くなり,大腸は刺激を受ける。これに加えて,食物繊維も水分を吸収してかさを増し,ペクチンもまた有用細菌のエサになって腸内微生物を活性化するのだから,大腸の中はいくつもの刺激で大騒ぎなのである。

 

かくして,プルーンがもつ「食物繊維 + ソルビトール」のお通じ刺激パワーは恐るべき威力であることを再認識したのであった。